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ユーザーによるイノベーション!「コスモクロス」から「あったかクロス」が生まれるまで

WEMAKEでは、シーズを抱えている企業とともにテーマを設定してアイデアを募集するテーマコンペを行なっています。5回目のテーマは、KACXINで開発している「コスモクロス」をどう活かすか、というもの。代表の高木英俊さんからご提案いただき、延べ150件以上のアイデアが集まりました。

コンペに投稿されたアイデアはすべて高木さんに確認いただき、メーカー視点でのコメントを加えて返信していただきました。

そして、高木さんとWEMAKEでの協議の結果、「あったかクロス」がグランプリに決定されました。今回は、WEMAKEコンペ発の商品第一号が生まれるまでの経過とその過程への想いを伺います。

不便の中から生まれるアイデアこそが、「ほしい!」につながる

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―WEMAKEとコラボレーションしたきっかけを振り返ってください。

中小企業にはたくさんの発明の財産があります。しかしアイデアを思いついても商品化するには資金がかかります。そこで、いいアイデアなのに商品化されることなく眠ってしまい、消費者に届かないことが多くあるのです。そこで、我々中小製造業の企画した試作品を掲載するようなwebサイトをつくり、いろいろなおもしろい発明を掲載していました。

しかし、個人で運営するには限界がある……そんな壁に直面していたときに、WEMAKEを運営するエイスさんと出会いました。

代表の山田さん、大川さんからお話を聞いて、WEMAKEが提供する、新しいものづくりの仕組みにとても共感しました。「日本の技術者やメーカー、中小製造業は、たくさんのアイデアや高い技術力を持っているのにそれを活かしきれていない。自社で製品開発するのはリスクが高いため、低リスクで商品化を実現するシステムをつくりたい」という発想に、「渡りに船だ!」と、感じたのです。

―「コスモクロス」でコンペをしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

「コスモクロス」には、遠赤外線効果による、発熱、かびの防止、鮮度保持、発酵の促進という効果がありました。新しい大きな可能性を秘めたこの素材を何とか活用したいと思ったのですが、社内ではなかない良い製品アイデアが出てきませんでした。開発者はこの素材自体が素晴らしいから、そのまま使えば売れると思いがちです。しかし、そういうわけではないのですよね。

特に、当社は定年を過ぎた男性社員で構成されています。そのため、女性や若者の発想を聞いてみたいと思ったのです。

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―実際にコンペを経て、感じたことはどんなことでしたか?

他の企業では、WEMAKEのような革新的な取り組みはないですよね。だからこそ、力を入れているこの「コスモクロス」を、コンペを経て一緒に磨きたいと思いました。

150件以上のアイデアが集まり、本当にうれしかったです。たくさんのアイデアを見ていて気付いたのは、消費者は開発者とは違う目線でものづくりをとらえていること。開発者は「新しい素材を使って、今までになかったものをつくるぞ」と意気込みがちです。しかし、消費者は「ここが物足りないから補う役割を担わせよう」など生活のなかの不便を補う視点で素材を見ているので、存在するニーズに基づいたアイデアを発想することができます。

この視点は売れる商品をつくる上では確実に必要なことです。

例えば、コスモクロスをハンガーに付けるというアイデアが出ました。「衣類を温めておきたい」という生活の中の小さな不便を埋めるための発想は、開発者からはなかなか出てきません。まさに目から鱗でした。肩の力が抜けた、生活に根ざしたものが多く出た点が良かったと感じています。

発案者もゼロからアイデアをつくっていくよりも、「これを使って」というテーマがある今回の方が考えやすかったのではないでしょうか。

―なかには実現不可能か?と思える提案もあったかと思いますがどう感じましたか?

開発者のなかで話をしていると実現可能性ばかりを話し合ってしまいます。しかし、消費者からは純粋にニーズが出てきます。

その要望を聞くと、「よし、やってみよう」と気持ちになります。難しいものをどう実現していくかという点も開発者のモチベーションになるのです。今回は特に、web上で発案者とコメントのやり取りをすることができたのが印象的でした。通常では、製品を作り上げてから意見を聞くことが多いので、消費者とアイデア出しの段階でキャッチボールできたのは大変有意義な経験でした。

もっともっとディスカッションしたいので、どんどん意見を出してほしいと感じました。

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―「あったかクロス」の製品化にあたっての抱負を教えてください。

製品化した「あったかクロス」はたくさんの方に使っていただきたいと思っています。そして、使っている中から、「ここに使ったらよいのではないか」というさらなる新しい発想が生まれてくるでしょう。そんなふうに製品を発展させていくことも楽しみの一つです。


そんな、「あったかクロス」は現在WEMAKEで商品名が『warmy』に決定し、キャッチコピーを募集しているところです。どんな商品になるか楽しみですね。