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お月見時計商品化プロジェクト

スタート

発表から一夜明けた2014年9月11日。
最優秀賞に輝いた「お月見時計」の商品化プロジェクトが始まりました。

Wemakeスタッフは、早速技術顧問の菅原さんへ連絡し、お月見時計を量産化するにあたり、課題整理を依頼しました。

菅原さん「すいません、思っていた以上に課題が多かったです・・・
気になるところが沢山出てきて、まとめきれませんでした。
つらつら書いてしまっています。読みにくくなってしまいすいません。
まだまだ『デザイン』というステップですね。」

松原さんから指摘された課題は多く、電池と駆動時間、電波受信と回路、筐体設計と製造方法、そして、コスト。
他にも細かい指摘をいくつもして頂き、それぞれについて一つずつ決めていきます。

ただ量産を進める前にやることがあります。

デザイナーのイメージを具現化する。

まずはRyu Yamamotoさんのイメージを再現しなければなりません。でなければお月見時計の価値が出せません。

表面の質感、色、光の透過具合、月の大きさ・輪郭、時計の針。

パッケージや写真についても、世界観を統一する必要があり、それぞれ誰に頼むのか?を決めなければなりません。

ただ、当面やらなければならないのは「質感・色などのイメージを再現すること」と「日時と月齢の連動回路を造ること」です。

「質感・色などのイメージを再現すること」は容易ではありません。

ザラザラとは?

Ryu Yamamotoさんから質感を伺いました。

「最優先は”マット感”と”ザラザラ感”」

言葉より物、と言って、Ryu Yamamotoさんからサンプルが届きました。

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同じ質感を持つ塗装を探し、二つの方法が見つかりました。

一つは「ストーン調」。アサヒペンさんから販売されているスプレー塗料で、ザラザラとした質感を得ることができました。

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もう一つは「PORTER’S PAINTS」。家の内装用のインテリアペイントを行う会社さんです。Ryu Yamamotoさんとも仕事上の繋がりがあり、お月見時計の質感を再現するために協力頂くことになりました。

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多彩なサンプルを頂き、イメージに近づけていきます。

ぼんやりとした月の表現

質感の再現にめどが立ってきたので、ぼんやりとした月の表現を進めていきます。
この表現について、Ryu Yamamotoさんの友人キムさんが手伝ってくれることになりました。早速三色LEDの試作を行い、光の再現を試みます。

ここで、新たな課題が浮上しました。まず、色の再現が困難でした。
RGBを使う三色LEDでは、虹色を造ることはできても、白色を調色するのはとても繊細な調整が必要だったのです。

次に、表面塗装の裏側から発光させるため、透過した光を鑑みて色を造らなければなりませんでした。

そこで、三色LEDの調色の検討をキムさんにお願いし、カラーフィルタや塗装などで色の再現ができないか検討していくことにしました。

平行して、ぼんやりとした月の「ぼんやり」を再現する方法も検討します。
量産コンサルタントから提示されたのは「ルミパール」という光拡散剤を混入したプラスチックを使うこと。

ルミパールはMacBookに使われています(あの光るリンゴのマークです)。
ルミパールや、他の「光拡散剤」を扱うメーカーに連絡し、サンプルを取り寄せます。
しかし、MacBookのように均一な光とならず、LEDが見えてしまいます。
MacBookはLED一つで光らせていると聞いていたのに…。)
そこで、古いMacBookを分解したところLED一つではなく液晶のバックライトで光っていることが判明!
他の拡散板や、LEDの複数使用、レンズなどの検討をおこないます。

「質感・色などのイメージを再現すること」は幾つか課題がありますが、再現できる方向は見えてきています。

量産へ向けた課題

月を、月齢通りに光らせる

一方で「日時と月齢の連動回路を造ること」は暗中模索といわざるをえません。。。

幾つかの設計屋さんに打診しましたが、あるところは設計できないとのご返答、あるところは予算が折り合わず断念……。 

お月見時計がお月見時計たる所以「日時によってその日の月齢が光る」を造れるところが見つかっておらず、調査を続けている段階です。

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