《米Quirky創業者に学ぶ》優れたコミュニティマネージャーの3つ条件
こんばんは、Wemakeの外山です。
今回のブログは、米Quirky創業者に学ぶ優れたコミュニティマネージャーの3つ条件、です。
Ben Kaufmanのコミュニティに対する愛情と一貫したビジョンは素晴らしく、彼のCommunity Managementから学んだことをメモがてらブログに書きます。
*$185.33Mという巨額な投資を受け成長していたはずのQuirkyがなぜ倒産したかについては前回のブログ【データで見る】米Quirkyが倒産した理由をご参照ください。Community Managementは秀逸でしたが、Business Managementは少し難ありでした。。
早速本題です。
優れたコミュニティマネージャーの3つ条件
1. Communityと同じビジョンを共有すること
2. 誰よりもサービスの価値を信じていること
3. Communityに対してオープンであること
1. Communityと同じビジョンを共有すること
Quirkyのビジョン=Communityのビジョンとなることにより、Quirkyは極めて高いユーザー体験を実現しました。
Ben Kaufmanは、"Make Invention Accessible"というビジョンを実現するためにQuirkyを立ち上げました。人々は実現したい自分のアイデアを持ってQuirkyに参加します。Quirkyは彼らのアイデアを世に送り出すことに全力で取り組みます。
SMW New Yorkの講演で、Benはこう言います。
「(Quirkyは自社製品をコミュニティと一緒に開発し利益をみんなでシェアするので) コミュニティの成功が僕の成功であり、コミュニティの失敗は僕の失敗でもある。全員が成功しなければ、誰も成功しない仕組みだ。全員が同じ目線で同じ方向を向いていることがQuirkyの強みだ。」
Benは徹底してコミュニティと共有しているビジョンの実現を推進しました。1週間に3つの新製品をリリースするという強硬な製品開発スケジュール/薄利にも関わらずコミュニティに対して多くの収益分配などは後にQuirkyを大きく苦しめる施策となりますが、一方でこのような一貫したビジョンに基づく施策により多くのユーザーを魅了していたことも事実です。その結果、110万人のユーザーが参加し、4年間で合計30万件のアイデアを投稿され、家電/ペット用品/文具/おもちゃなど幅広いジャンルに渡り多くの製品が世に送り出されました。
熱量を持ったコミュニティ運営を行うためには、コミュニティマネージャーがCommunityと同じビジョンを共有すること、が極めて重要であります。
2. 誰よりもサービスの価値を信じていること
Ben Kaufmanは、Quirkyの創業者であると同時に、誰よりもQuirkyの価値を信じるエバンジェリストであったため、コミュニティメンバーの信頼を得ることができました。
彼は高校生の時、先生に気付かれずにiPodを聞きたいと思い、“Song Sling”という一見首ひもに見えるIpodアクセサリーを発明しました。その製品を量産するため、両親に$185,000に借金して中国へ行くも全て水の泡となり、彼は個人で発明を製品化することの大変さを実感します。しかし彼は諦めず、iPodアクセサリーの"Mophie"という会社を立ち上げ、展示会の来場者のフィードバックを元に製品をブラッシュアップしていく試みを行います。様々な人のアドバイスを元に改良された製品はヒット製品となります。
Quirkyに集まる人々は、若き頃の彼と同様に、自分のアイデアを具現化したいものの、方法が分からず悶々としている人々でした。Quirkyのカスタマーサポートには、80歳のおじいちゃんから電話で「ずっと前から実現したいアイデアがある。初めてパソコンを使うため近所の図書館に来た。どうやって自分のアイデアを投稿すればよいのか教えて欲しい」という問い合わせもあったといいます。
コミュニティマネージャーが自身の経験に基づきQuirkyの価値を圧倒的に信じていたことにより、参加ユーザーの信頼を勝ち取り、熱量のあるコミュニティの形成に繋がっていきました。
3. Communityに対してオープンであること
Ben KaufmanはCommunityに対してオープンな姿勢で接することにより、Communityからの信頼を得ました。
毎週木曜日のEval(Ustreamで生放送の公開評価会)は有名ですが、創業時からUstreamを使ってユーザーのQ&Aに答えていました。また初期のころよりブログなどを通じて収益分配や規約の変更について発信を行っています。2015年2月には会社が経営難に陥ったことも正直にCommunityと共有します。これはCommunityと不可分のビジネスモデルであるQuirkyでは当たり前のことといえますが、Benは極めてフランクかつ誠実にCommunityと接しています。
良い面も悪い面も含めてユーザーと共有して一緒に前に進もうとするQuirkyの運営は、他のCommunityの運営においても大いに参考になります。
初期のQuirkyのUsteramによるQ&A
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201502のTown Meetingで資金ショートを報告
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おわりに
Wemakeの運営を鑑みるに、Quirkyから学ぶことは非常に多いです。かつてのQuirkyのような熱量のあるCommunityを形成できるよう、日々精進してサービスの向上に勤めたいと思います。