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未来のコミュニケーションを発想するワークショップ参加レポート

12/20(日)、12/21(月)の2日間でワークショップ「2025年のコミュニケーションをデザインするアイデアワークショップ」が開催されました。

このワークショップは富士ゼロックス主催のWemakeプロジェクト「価値あるコミュニケーションを実現する近未来のソリューション」の一環で、グループワークを通して"未来の価値あるコミュニケーション"を発想するものでした。

本記事はそのレポートになります。

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▲会場は六本木にある富士ゼロックスフューチャーセンター

ファシリテーターの島田拓弥氏は、富士ゼロックスでソリューションの企画やサポートを担当する傍ら、
オープンイノベーションを活用した新規ビジネス企画にも取り組んでおられます。上級BBQインストラクターといった一面もあり、ぜひ一緒にBBQをやってみたいです。

 

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ファシリテーターの島田さん

 

当日は約50人の「コミュニケーション」や「富士ゼロックス」、「共創」に興味を持った方が集まり、富士ゼロックスの開発職や営業職の方などを交えてアイデアソンを行いました。アイデア出しとブレストを短時間で行い、ものすごい勢いでアイデアが生まれていました。

 

イデアソンとは

IdeaとMarathonを合わせた造語で、設定されたテーマに合わせてアイデアを出し合い、最終的にはそれをまとめていく形式のワークショップです。 

 

富士ゼロックスWemakeでやろうとしていること

Wemakeプロジェクト「価値あるコミュニケーションを実現する近未来のソリューション」を通して、ユーザー視点の提案を、富士ゼロックスとWemakeが手を取り本気で事業化につなげていく取り組みです。

 

 

今回のワークショップの内容

今回のアイデア発想プロセス

1. 1人ブレスト

まずは、今回のテーマ「2025年に思わず体験したくなるコミュニケーション」に対して「何と」「どんな環境で」「どんな風に」コミュニケーションしたいかを列挙し、ストーリー化していきました。

例えば筆者は「ローカルなお店と」「外で」「適切なタイミングで」コミュニケーションしたいとして、

休日に散歩しているときに「近くのパン屋さんで焼きたてのクロワッサンが棚に並んだよ」とか「今あそこの映画館にいけばスターウォーズが見れるよ」みたいな情報を知ることができると、今まで行ったことのないお店や商品との新しい出会いが生まれるのではないでしょうか。

というようなストーリーを描きました。

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▲要素を組み合わせてストーリーにする

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▲みんな真剣な顔で取り組んでいます

 

2. 5分×5回のペアブレスト

1人で作ったストーリーを2人組で話し合い、さらに新しい視点やストーリーを獲得していきます。このペアブレストでは参加者全員で大きな輪をつくって行うので、隣のブレストの声が丸聞こえです。なので、大きな声で話さないと相手に伝わりません。また何度も自分の口からアイデアを話すことで、より伝わりやすいストーリーへと進化していきます。

1つ前のペアブレストで出たアイデアをストーリーに付け加えて話したり、話している途中の相手の質問からアイデアの方向性が大きく変わったり・・・たった5分のブレストの間に目まぐるしくアイデアのブラッシュアップが行われていました。

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▲和気あいあいとした雰囲気でとても盛り上がっていました

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▲アイデアの説明はとても楽しそうです

 

3. アイデアスケッチにみんなで投票

アブレストで拡げたアイデアをA4のシートに記入していきます。相手からもらった意見や話しているうちに浮かんだアイデアもどんどん書き込んでいきます。 

イデアを紙に書いたらテーブルの上に並べて、気になるアイデアに投票を行いました。イチオシのアイデアには票が集まらないのに、最後に出したぽっとでのアイデアが意外に票を集めた、なんてこともあるのが不思議なところです。ファシリテーターの島田さん曰く、「たくさんアイデアを出せば出すほどよいアイデアが出せるので、後半に出したアイデアの方がいいアイデアになりやすい」らしいです。

この日は投票で12票以上を集めたアイデアをピックアップする流れでしたが、筆者の考えたアイデアは、4票と10票、、、まだまだアイデア出しが足りていないようです。

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▲他の人のアイデアに興味深々f:id:wemake:20151224154842j:plain

▲気に入ったアイデアに星をつけて投票

 

4. チームを作って発展ブレスト

たくさんの票を集めたアイデアをピックアップし、アイデアに共感する人を集めてチームを作ります。

チームができたら実現しようとしているコミュニケーションが「どうして必要なのか」「どうやって実現するのか」「どうすると面白くなるのか」などの視点で、元のアイデアを発展させつつ、収束させていきます。
イデアを拡げるのはそこまで難しくないのですが、実際にどういうアウトプットに落としこむかを考えて収束させていくのがなかなか難しいものでした。すべてのアイデアを盛り込むと何も伝わらないものになってしまいます。うまく核となるアイデアをより輝かせるようなアイデアを選び抜き、なんとか短い制限時間の中でまとめきることができました。

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 ▲つくったチームでアイデアを発展中

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▲最後にチームごとにブラッシュアップしたアイデアを発表しました

 

まとめ

普段の仕事の中で「アイデアを出す」と言いつつ、各自の意見を言うだけで、あまり発展的な時間にならずに終わってしまうことが多くありませんか?

「5分のペアブレスト」を繰り返したり、「20分に絞って発展ブレスト」をしたりとアイデアへのフィードバックとその改善を何度もこなすことで、短時間で「自分がほしいアイデア」から「みんながほしいアイデア」へと進化させることができる可能性を感じました。


今回のワークショップは短時間で行ったため、富士ゼロックスにおける事業性がつめきれていない点など、まだまだ改善の余地を残していますが、その一方で今までにない切り口のアイデアも多く生まれました。今後はWemake上でのコミュニケーションでさらなるコンセプトのブラッシュアップを行い「価値あるコミュニケーションを実現する近未来のソリューションの素敵なコンセプトとして提案されることを楽しみにしています。

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社内外の垣根を超えたコラボレーションで商品企画に革新を起こしたい

2015年11月24日、コクヨ株式会社はオープンイノベーションをテーマに、共創によって製品開発を行う、新しいものづくりのプロセスに歩を進めます。 
社内で構想を温めていたコクヨの小林彰吾氏と川本英樹氏に、これまでのものづくりの道程と今回のプロジェクトに至った経緯をお話いただきました。いかにもコクヨらしい、誠実で丁寧、ユーザーのために徹底して質を追い求める姿勢が印象的でした。

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小林
はじめまして、コクヨの小林です。私はステーショナリー事業本部のクリエイティブ戦略部商品企画革新グループというところに所属しており、ここではその名の通り「商品企画」を革新することを目的として、様々な施策を実施してきました。

川本
はじめまして、川本です。私自身は商品企画・開発に手ずから携わることはほとんどありませんが、新規事業の立ち上げや提案営業を経験しているので、特にBtoBビジネスについては、知見とアイデアを織り交ぜながら取組みを構築してきました。

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-- お二人がこれまで関わってこられた商品や、こだわり、苦労したことはどのようなところなのでしょうか。

小林
商品企画・開発を行っていく上で最もこだわっている点は「際まで考えぬくこと」です。開発者視点ではどうしてもできること・できないことという技術的な線を先に引いてしまうことがあります。そうではなく、まず「ユーザー視点でどうあって欲しいか」の理想を考えたうえで、それをどうすれば実現できるのかということを徹底的に考えぬきます。そうすることで、細部にまでこだわった価値のある商品が生まれると思っております。

例えば、私が企画開発をしたレッドテックという商品があります。
瞬間接着剤に対する不満点を調査したところ、約半数の方から塗った箇所や量が分からないという声があり、結果として接着剤を塗りすぎてしまったり、接着剤が手に付いてしまうというトラブルを招いていることが分かりました。

そこで、接着剤に色を付け、塗った箇所や塗った量が一目で分かりやすくし、塗った後は時間が経つと透明になる瞬間接着剤の開発を目指しました。 色を出して消すことができる技術を徹底的に洗い出し、様々な処方をトライすること約2年。フォトクロミック材料という光を用いて色を出して消すことができる材料により実現ができました。

また、液の開発だけに満足せずに、ユーザーが使うシーンにおいて最も使いやすいものにすべく、ノズルの先は「ななめカットノズル」といって、細かい点塗布から広い面への塗布を可能にしました。また適量を搾り出しやすくするために、最後まできちんと出し切ることができる機構を加えたプッシュボタン、次に使うときに固まらないようにコルク栓のようなキャッピング機構など、徹底的にこだわりぬき、発売をしました。

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川本
私はマネジメントの話になりますが、企画開発担当者に活躍の場を提供し、能力をフルに発揮できるようにすることが私のこだわりです。どんなメーカーでも、進取の気鋭に満ち、アイデア豊富な企画マンというのは少なからず存在するものです。彼らが100%能力を発揮できる環境を作れるかどうかが、メーカーのパフォーマンスを決定します。短期の財務や部門の目標などを考えると判断しづらい案件でも、長期的に見てイノベーションの萌芽を感じられるなら、リスクをとって決断するのが、マネジメントの仕事です。

コクヨ(当時はコクヨS&T)では2007年から防災事業を展開していますが、事業スタートと同時に「エレベーター用防災キャビネット」という製品を発売しました。従来の文具の領域からすると畑違いであったこの企画は、開発部門から拒絶されました。そこで、私は事業推進プロジェクトの立場でこの企画を引き受け、イレギュラーな体制で開発を進めることを決めました。

この製品は在庫リスクも大きく、役員会でも再三NGを出されましたが、お客様や販社に対するヒアリングを重ねた結果として、この商品は受け入れられる、この先の防災事業にとって必要な商品となる、という確信を持っていたので、4度の役員会で提案を続け、ついに商品化の決裁を得ました。今では、この商品はコクヨの防災事業にとって欠かせない重要商材になっています。

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-- どこまでユーザーのために、社会のために粘れるかということが、他社と一線を画すことに繋がっている印象を受けます。逆にお二人のなかでの問題意識はどのようなことなのでしょうか。

小林
社内の限られたメンバー、限られた時間では目の届かない死角もあり、少し限界を感じているところもあります。
そこで皆さんのような社外のデザイナーさん、エンジニアさんと共に、商品を生活者目線で共に創りあげるというかたちでのオープンイノベーションが、次の大きな革新を生む起爆剤になるのではないかと考えています。
「共創」で最も大事だと思うのが、双方向のディスカッションだと考えています。一方通行ではなく、創り上げていくイメージです。

社外のデザイナー・エンジニアさんには我々のパートナーとして、コクヨ視点ではなかなか出てこないような枠を超えたアイデアを期待し、それを社内のデザイナーとブラッシュアップしていくことで、我々もプロのステーショナリーメーカーの企画開発者としての知見を活かして、もっともっと良いものに仕上げていく。そのやりとりがまさに「共創」だと思っております。
コンセプトを提案して、それをコクヨが評価して、はい終了ということでなく、商品やそれを手に取るお客様のユーザー体験を、社外パートナーの皆さんと最後まで一緒に創り上げていくことが最も重要だと考えています。

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-- 最後にこのプロジェクトにかける意気込みをお願いします。

川本
このプロジェクトを通して、2つのことを実現したいと考えています。
①大きなイノベーションを生み出す商品を出して、世の中の役に立つこと
②この取組みを通してオープンイノベーションを活用したコクヨらしいコンセプト創出手法を確立すること

コンセプトを出して終わりという一方通行ではなく、社内・社外のデザイナー・エンジニア同士の双方向のブラッシュアップを通して、より良いものに仕上げていくプロセス、そこに独自性などが生まれてくることを期待しています。それがコクヨらしい仕組み化の一つになっていけばと考えています。

既存の発想を超えた新しいソリューションを共創する

富士ゼロックスさんは、共創やオープンイノベーションに並々ならぬ情熱を持った会社です。
今回プロジェクトに参加してくださる皆さんに、是非その熱意を画面越しにでも伝えたいと思い、富士ゼロックスの様々な部署から今回のプロジェクトに参加するメンバーに集まっていただきました。

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ーー 簡単に皆さんの自己紹介をお願いします。

鎌田
プロダクトマーケティング部という部署で、市場要求の把握をし、企画や開発にインプットをしています。プロダクトアウトからマーケットインの活動をさらに加速させることがミッションです。

大川
群企画部という部署で、新価値を探索し、企画や価値検証を行っています。
プロダクトマーケティング部からのお客様ニーズ等を元に、企画立案や顧客価値検証を通してビジネス可能性を見出し、戦略へ据え付けていくことをミッションとしています。

弊社はさまざまな部門を横断し、「徹底したお客様視点での新たな価値創造」を目指して、お客様との「共創」に取り組んできました。たとえば、お客様に横浜にある「お客様共創ラボラトリー」にお越しいただき、富士ゼロックスの技術やノウハウとコラボしながら、新たな価値創造を実現してきています。

 

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ーー Wemakeを使うにいたった背景はどのようなことでしょうか?

馬場
とはいえ、世の中の環境が劇的に変化していく中、私達も現状のままで満足しているわけにはいきません。富士ゼロックスが、お客様の最良のパートナーであり続けるためには、ギアを上げて、共創活動も加速し続けなければなりません。そんな中で出会ったのがWemakeというサービスでした。


ーー どうして数ある共創サービスのなかでWemakeに決めたのでしょうか?

大川
お話を聞いたときに、一番驚いたのが、「クリエイター」による投稿コンテンツ質の高さです。
この質で、こんな量の投稿が集まるのか!と。また、単なるコンペではなく、テーマ提供者と一緒に創るプロセスが魅力ですね。投稿者や投票者についても、富士ゼロックスがこれまで接点を持っているお客様層以外の層が多く含まれていそうであると。

鎌田
これまでの富士ゼロックスのプロセスとは全然異なります。
これはもしかしたら、今までにない新しいソリューションコンセプトの創発ができるのではないかという期待を持ちました。我々にとってもチャレンジです!

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ーー Wemakeに求めていることはなんでしょうか?

島田
今回のプロジェクトでは、ユーザーとの接点を増やすため、対面でのワークショップの機会を増やしました。ほかにも、弊社のやりたいこと、目指すことを理解していただき、プロセス設計も共創させていただいています。チームとして一体となって進めていきたいと思ってます!


ーー 既存の事業策定プロセスには何か問題意識をお持ちだったのでしょうか?

鎌田
やはり限られたリソースのなかでは、大量のアイデアだしとそのブラッシュアップは限定的でした。また、既存の視座や経験に囚われ、今までの発想の枠を超えたアイデアが出にくいということも感じていましたし、そもそも商品化以前のコンセプトを、世の中に広く問うことができる機会は多くありませんでした。

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ーー 今回の取り組みで大切にしたいことはなんでしょうか?

大川
お客様や市場の「課題」に徹底的に着目し、富士ゼロックスらしい「解決策」を見つけること。
また、「人と人」だけでなく、「人とモノ」「モノとモノ」「昔と今」など、新しい「価値あるコミュニケーション」を発想&明確化していきたいと思います。


ーー また、このプロジェクトで達成したいことはございますか?

大川
既存の発想を超えた新しいソリューションコンセプトを社員とWemakeコミュニティの共創により創発することですね。
また、このプロセスを通して、これまで接点のなかったお客様との継続的な関係性や富士ゼロックスファンを増やしていきたいと思っています。


ーー Wemakeコミュニティへのメッセージ

鎌田
富士ゼロックスが提供すべき「価値あるコミュニケーション」を、既存事業にとらわれない自由でクリエイティブな発想で明確化した、ワクワクするソリューションコンセプトを共に創りたい。
また、本プロジェクト後に続くビジネス検証以降のフェーズにおいても、協力いただける継続的な関係性が構築できることを期待します。

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ーー 最後にひとことお願いします

鎌田
全ての起点はお客様であるべきだと考えています。この活動は従来にない形でお客様とのコミュニケーションを取ることができる一つの方法でもありとても期待しています。世の中を変えるワクワクするようなコンセプトを一緒に作りましょう。

大川
「価値あるコミュニケーション」ってなんだ!?近未来にはいったいなにが起こる!?私達は一体どんな価値を生むことができる!?など、楽しみながら皆様と一緒に考えていければ最高です!

コクヨ株式会社とオープンイノベーションを活用した商品開発プロセスをスタート

Wemakeの山田です!
 

本日より、コクヨ株式会社さんと文具の新商品開発を開始します。

単発で短期の共創を行うのではなく、中長期的に企業と生活者が 1 つのチームとして深く関係し合うなかで、思いもよらない新しい価値や商品を生み出していく、オープンイノベーションの商品開発プロセスコクヨさんのなかに確立することを目標に、コクヨさんチームおよびWemakeコミュニティのメンバーと一丸となってがんばります!

詳細は下記プロジェクトをページで!

 https://www.wemake.jp/projects/3 

  

本プロジェクトの座組み概要
本プロジェクトの座組み概要


 


 
 

 

ダンボール家具 "Dplus" Factory tour

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Wemake運営スタッフの外山です。

ダンボール家具の最優秀作品であるDplusの工場見学に行ってまいりました。

 

ダンボールに詳しくない私ですが、いつのまにかあの独特の甘い香りと優しい触り心地に魅了されました。ダンボールには数多くの種類や特性があり、ダンボールの素材の特性を生かした梱包形態などを考える職人の方のお話をお聞きし、ダンボールの奥深さに引き込まれる工場見学となりました。

普段は一般の人向けには開放されておらず、今回は特別訪問させて頂きました。関係者の方々ありがとうございました。

 

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ダンボールはもともと英国でシルクハットの内側が蒸れるのを防止するために開発されました。その後、米国にて梱包材として注目され、特に海軍省では“Operation Light Pack”というプログラムを組み、積極的に3層ダンボールの使用を開始しました。その3層ダンボールが「安く、軽く、強い」ハイプルエースとなります。

  

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日本中の人々の生活を支えるダンボール。絶え間なく動く工場の機械からは日本経済の呼吸のようなものが伝わってきます。

 

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 ダンボール家具の製作では、サンプルカッターを活用し、一点から受注可能という少量多品種のカスタムメイドができます。通常のダンボールも取引先の要望に応じて少量多品種生産を行っているとの事で、フレキシブルな生産体制に驚かされました。

 

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プロトタイプで試し刷りしてもらったグラフィックバージョン、ダンボールの独特の風合いと印刷が相まって想像以上にクールな印象でした。

 

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工場の奥にあったステンシル。ダンボールとの親和性がかなり高く、独特の風味が美しかったです。実際に作業させてもらいましたが、非常に楽しくぜひワークショップを開催したいと思いました。。

 

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今回のプロジェクトでは、使い手が自らの生活にあわせて改変をしやすいダンボール、中でもより家具に適したハイプルエースという素材を用いて、オープンにデザインを行い、新しい家具をつくる、というテーマです。シルクハットに始まり梱包材として世界中の人々の生活を支えるダンボール。ダンボールの新たな一面を発見すべく尽力いたしますので、今後ともダンボール家具プロジェクトにご注目ください!

 

 

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外山

 

お月見時計商品化プロジェクト

スタート

発表から一夜明けた2014年9月11日。
最優秀賞に輝いた「お月見時計」の商品化プロジェクトが始まりました。

Wemakeスタッフは、早速技術顧問の菅原さんへ連絡し、お月見時計を量産化するにあたり、課題整理を依頼しました。

菅原さん「すいません、思っていた以上に課題が多かったです・・・
気になるところが沢山出てきて、まとめきれませんでした。
つらつら書いてしまっています。読みにくくなってしまいすいません。
まだまだ『デザイン』というステップですね。」

松原さんから指摘された課題は多く、電池と駆動時間、電波受信と回路、筐体設計と製造方法、そして、コスト。
他にも細かい指摘をいくつもして頂き、それぞれについて一つずつ決めていきます。

ただ量産を進める前にやることがあります。

デザイナーのイメージを具現化する。

まずはRyu Yamamotoさんのイメージを再現しなければなりません。でなければお月見時計の価値が出せません。

表面の質感、色、光の透過具合、月の大きさ・輪郭、時計の針。

パッケージや写真についても、世界観を統一する必要があり、それぞれ誰に頼むのか?を決めなければなりません。

ただ、当面やらなければならないのは「質感・色などのイメージを再現すること」と「日時と月齢の連動回路を造ること」です。

「質感・色などのイメージを再現すること」は容易ではありません。

ザラザラとは?

Ryu Yamamotoさんから質感を伺いました。

「最優先は”マット感”と”ザラザラ感”」

言葉より物、と言って、Ryu Yamamotoさんからサンプルが届きました。

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同じ質感を持つ塗装を探し、二つの方法が見つかりました。

一つは「ストーン調」。アサヒペンさんから販売されているスプレー塗料で、ザラザラとした質感を得ることができました。

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もう一つは「PORTER’S PAINTS」。家の内装用のインテリアペイントを行う会社さんです。Ryu Yamamotoさんとも仕事上の繋がりがあり、お月見時計の質感を再現するために協力頂くことになりました。

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多彩なサンプルを頂き、イメージに近づけていきます。

ぼんやりとした月の表現

質感の再現にめどが立ってきたので、ぼんやりとした月の表現を進めていきます。
この表現について、Ryu Yamamotoさんの友人キムさんが手伝ってくれることになりました。早速三色LEDの試作を行い、光の再現を試みます。

ここで、新たな課題が浮上しました。まず、色の再現が困難でした。
RGBを使う三色LEDでは、虹色を造ることはできても、白色を調色するのはとても繊細な調整が必要だったのです。

次に、表面塗装の裏側から発光させるため、透過した光を鑑みて色を造らなければなりませんでした。

そこで、三色LEDの調色の検討をキムさんにお願いし、カラーフィルタや塗装などで色の再現ができないか検討していくことにしました。

平行して、ぼんやりとした月の「ぼんやり」を再現する方法も検討します。
量産コンサルタントから提示されたのは「ルミパール」という光拡散剤を混入したプラスチックを使うこと。

ルミパールはMacBookに使われています(あの光るリンゴのマークです)。
ルミパールや、他の「光拡散剤」を扱うメーカーに連絡し、サンプルを取り寄せます。
しかし、MacBookのように均一な光とならず、LEDが見えてしまいます。
MacBookはLED一つで光らせていると聞いていたのに…。)
そこで、古いMacBookを分解したところLED一つではなく液晶のバックライトで光っていることが判明!
他の拡散板や、LEDの複数使用、レンズなどの検討をおこないます。

「質感・色などのイメージを再現すること」は幾つか課題がありますが、再現できる方向は見えてきています。

量産へ向けた課題

月を、月齢通りに光らせる

一方で「日時と月齢の連動回路を造ること」は暗中模索といわざるをえません。。。

幾つかの設計屋さんに打診しましたが、あるところは設計できないとのご返答、あるところは予算が折り合わず断念……。 

お月見時計がお月見時計たる所以「日時によってその日の月齢が光る」を造れるところが見つかっておらず、調査を続けている段階です。

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www.wemake.jp

 

顧客視点の難しさ

以前流行った『ビジネスモデル・ジェネレーション』(以下BMG)ってご存知ですか。

ビジネスモデルを9つの要素に分解する、あれです。

その続き“Value Proposition Design”が先月出版されました。

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まだ日本語になっていないですが、基本的には、

BMGにおけるもっとも重要なパーツであるVP(Value Proposition=価値提案) と、

CS(Customer Segment=顧客セグメント)を深堀りしていくことで、より顧客にとって価値の高いものを生み出していくといったような内容です。

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触れると長くなるので、気になった方は読んでみてください。きっとすぐ日本語版も出ると思います。

さて、この本が「顧客に提案できる価値」に焦点をおいているのと同じく、「顧客視点」とか「人間中心」とかいった言葉が、

主に企業を中心として日常的に聞かれるようになってきました。

なぜでしょう。

これも聞き慣れた説明ですが、簡単にいえば「作っただけじゃどうにも売れなくなった」からです。

昭和30年頃からの、なんでも作れば売れていた高度経済成長期とは違い、生活は物で溢れてニーズは細分化され、経済は低迷し、、、と

人々が簡単になんでもかんでも買う時代ではなくなってしまいました。

実に困りました。

だから、売る(つくる)立場にいる人達は、買う立場の人のことをもっと真剣に考えて、ものを作らなければいけなくなりました。

とはいえ、顧客視点に立つというのは思っている以上に大変です。

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(参照:http://annejanzer.com/2012/12/03/content-marketing-watch-your-assumptions/perspective-glasses/)

とくに、長い時間をかけてものづくりをする製品開発者は、自分の商品・アイデアにどうしても自信と愛着がわくものです。「いいものをつくった!」と。

でも実際には、顧客視点の「いい」の基準が、いつの間にか、誰よりもそのモノを熟知している自分の価値観における「いい」になっていることが往々にしてあります。

作り手自身の「いい」と、買い手の「いい」がそのまま一致すれば、それが一番嬉しいことですが

実際には、うまくいかないことも多いです。

「いいものをつくったのに、なぜ?」という時は

視点がずれていないか、客観的に見つめてみることが必要です。

WEMAKEではアイデア投稿の時、そのアイデアが実現すると「誰に」「どんないいことがあるか」を考えて記入する欄があります。

イデア投稿をする上で、一見手間のようにも思いますが

これは、「顧客視点」を担保する工夫でもあるのです。

ちょっと面倒だな、と思ってもきちんと考えてみることで
具現化される可能性がグッと上がるかもしれません。